この手を離さない

「まさか、恭の彼女…?」



「はぁ?違うよ。」



「ふーん。」



疑いをかけるような目をしながらも、誠一は黙ってリビングへと向かって行った。




俺の家に来ると真っ先に誠一は俺のギターをチェックする。



何故かって?



ギターのチューニングが合ってなかったら



それだけギターを触ってない証拠。



バンドをやってる者として音と係わることから離れてしまったら、



良い音を見つけることも、良い曲を作ることも出来ない。



誠一は確かめてるんだろう。



俺が音から離れてないかどうか。



もう一度バンドを復活させたい為にも……。




「相変わらず良い音するな」



俺のギターで適当に音を出し呟く誠一。



「まぁな。毎日弾いてるから。」



ブラックのコーヒーを入れたカップを一つ誠一に差し出す。



お互いコーヒーのほろ苦さを味わいながら、会話のきっかけを探してた。