「綺羅…もう帰る」





やっとのことで絞り出した声は掠れていて、少し震えていた。


そんな私に気付いたのか、綺羅は私を見て微笑む。





「わかった、ごめんね?痛かった?」


「…大丈夫」


「早く帰ろうか、魔王もそろそろ帰ってくるしね」


「あい!!!」





必死に私を呼ぶ声が聞こえる。


それでも歯を食いしばり知らぬふりをして、





「しっかり掴まってね」


「…うん」






足元に出来た魔法陣が光り出す。






「あい!!!待てって!!!」






悲痛な叫びが耳に届く。


涙が溢れ、優羽が見れない。


けど、しっかりと優羽を見ながら最後に、








『ごめんね』








口パクでそう伝え、その瞬間体が光で包まれた。







涙で溢れた優羽の表情が最後に、人間界を後にした…―








.