コツコツと廊下を歩く音が辺りに響く。 いつか見た不気味な洋館、暗雲の空。 その場所に今、私はいる。 「でもよかった、あいが来てくれて」 「…約束、覚えてる?」 「勿論、天界と人間界には手を出さないよ」 ニコニコと嬉しそうな綺羅の横で、溜め息を零す。 これでいい、これでいいんだ。 私と関わったら皆酷い目に合ってしまう。 だから私が魔界に戻ればいい。 これでもう、迷惑をかけなくて済む…― 「ここだよ」 .