その日、そらは自転車をこいでいた。

空は真っ青に晴れて、風が心地いい。
春風に髪をなびかせながら、
そらは自転車を加速させていった。

心が澄んでいく。

~このまま、まっすぐ、進んで行きたい
  知らない場所へいってみたい~


そう思った瞬間、

四方に光の粉を撒き散らして、
時が硬直した。

そして、まるで映画を止めたかのような
景色の中で、そらだけが・・・・・・
消えていた。


木々も。
風も。
雲も。
太陽も。

一ミリも動かない景色の中で。