クシャおじさんのサイン本

放心状態のクシャおじさんから本を拝借し、全ページを確認してみた。

確かに、クシャおじさんの記事はない。

最後のページを見ると、初版から20年以上経ち、これが4版目であることが、確認できた。

どこかの改版で、クシャおじさんの記事は、落とされたのだろう。


そんな出来事があったことなど知らず、クシャおじさんは、得意げにずっと、勝手にサインし続けていたのだ。


クシャおじさんは、か細いサインと、ボールペンのグチャグチャの跡だけを残し、書店を後にした。