ラルウィルは尚も続けた。
「ヴァンパイアは人間とだけは結ばれてはいけない。俺はヴァンパイア一族の名を汚した男の息子なんだ。追われるのは当然なんだよ」
ヴァンパイアの掟……
それがどれほどヴァンパイアにとって大きいものなのか、人間であるセシルには到底分かるはずがなかった。
けれど、それは本当に大きな事なのだろうか。
けれど、人間だって化け物と人間が結ばれたらその人間を責めるのだろう。
人間もまた醜く、自らが気高いと思っているのだ。
セシルは“種族の違い”をより重く思った。
ふと、ラルウィルを見ると穏やかに口元を緩めて優しそうな顔をしていた。
けれど、その冷たいアイスブルーの瞳の奥にあるはずのものを思うと、いつも思うのだ。
この人の悲しそうな顔を見るのは苦手だ、と。



