満ち足りない月





するとラルウィルは急に足だけを前に向き直すと「さてと」と呟いた。


「書斎で話すはずだったのにこんな所で話してしまって悪かったな。寒くなっただろう?」


ふるふるとセシルは首を横に振った。


ラルウィルはまた柔らかく表情を緩め、セシルの前に自らの手を差し伸べた。


「さあ、戻ろうか」


セシルは少し嬉しそうに顔を綻ばせると、ただ静かにその手をとった。


彼の手は、握るととても冷たかった。