満ち足りない月





「俺は人間でもヴァンパイアでもない。……半ヴァンパイアなんだ」


セシルは目を見開いた。

目の前にいるその人はただ静かにセシルのその反応を見つめていて、悲しさも、侘びしさも感じられなかった。


状況、というよりその事情が彼にとって何を齎した(もたらした)のか、その瞬間に分かる事ではなかったが、淡々とそう話す彼を見て、なぜか、ああ彼にとって“これ”はとても大切な事なんだと気付く事が出来た。


それをなぜ自分に話してくれたのかは分からなかったが。


しばらくの沈黙の間、セシルは何も分かっていない無知な女に努めようと考えた。

それが彼のためだとも思った。



「半分、ヴァンパイアって事よね。でもどうしてそんな事が起こるの?」


落ち着いた口調で、冷静な目でラルウィルを見つめた。


彼も努めているのだろうか、悠然と答えた。


「両親がヴァンパイアと人間だからだよ」