満ち足りない月





「俺はヴァンパイアだ。それを、分かっているだろう」

一息おいて強調された“分かっているだろう”という言葉に心臓が跳ねた。


その優しい、けれど悲しそうな表情が何を言いたいのかわかっていた。


けれど知らないフリをしていたかった。

それはセシルの思いだ。


だから何も言わない。


――わがままな女よね。


セシルは心の中で自らに笑いかけた。