満ち足りない月





「さっきはすまなかったな。いきなり」


ラルウィルはこちらの顔を見ずに近くの木を見ながら言った。


「いいえ。こちらこそ……その助かったわ」


さっきまでこの人と自分があんなに密着させていたと思うとセシルは急に顔が赤くなってきた。

ちらっとラルウィルを見ると彼も手を顔に置いている。


もしかして私と同じ事を思ってるのかしら。

そう思うと何だかまた顔が赤くなってきた。

今が夜で暗くてよかった…


「エル」


聞き慣れない言葉だった為、反応が少し遅れた。


そっか、まだ私本当の名前を言ってなかったのよね。


「はい」

そう言って顔を上げるとラルウィルの顔がこちらを見ていた。


「すまない…。どうやら君を巻き込んだようだ」

ラルウィルは急に悲しそうな顔をした。