2つの音が完全に聞こえなくなってもラルウィルは動こうとはしなかった。
静かすぎる沈黙に耐えながらセシルはずっと自分の顔の前にある口を見ていた。
そしてそのまま考える。
もしかして顔を見られてるから街に行くのは危険なんじゃ……。
ここは暗がりだから顔はしっかり見られていないのは幸いだけど。
そうこう考えてる内にラルウィルがふうと溜め息を吐いた。
「もういいだろう」
ヴァンパイアの鋭い聴力を使って完全に遠くに行くまで聴いていたのだろう。
どのくらい時間が経っているのかさえもセシルは忘れていた。
ラルウィルはゆっくりと上体を起こし、うつ伏せになっているセシルに手を差し伸べた。
セシルはその手を取って「有り難う」と言いながら上体を起こした。



