満ち足りない月





「それもそうだ」

こちらの方が何倍も納得がいくという風な口調だ。頷いている男が想像出来る。


「ともかくあの女、怪しいぞ」


低い声で言う髭男の言葉に背筋がぞくっとした。


一体誰の事言ってるのよ。
そんな奴、知らないのに私怪しまれてるわけ?

あの時、あんな中途半端な嘘つくんじゃなかったわ。

セシルは段々不安になってきた。

もし奴らに捕まったら一体何をされるのだろう。私は何も知らないのに。

唇を噛み締めながらセシルは思った。


と、ふいにセシルの腕を掴んでいた手の力が強くなる。


少し驚いて、ちらっとラルウィルの横顔を見ると彼もこちらに気付きふっと笑った。


あっ何だか安心する。

セシルはそんな事を思った。

彼の笑顔を見ると大丈夫、だと思える。不思議な笑顔だ。