「そんな事、私に分かるわけがないだろう」
また口髭の男の溜め息混じりの声が聞こえた。
しばらく沈黙が続く。
その間、セシルの心臓の音は高鳴るばかりでラルウィルどころか二メートル先にいる相手にも聞こえてしまいそうだ。
しばしの沈黙の後、声を出したのは若い方の男だった。
「もしかして死んでるんじゃ……。だってもう100年姿を見た者はいないんでしょ?」
低く唸る声が聞こえると口髭の男の声がした。
「それは私達の決める事じゃないさ」
そこでセシルに一つの疑問が浮かんだ。
100年も姿を見せない男なんて……そんなの人間であるはずがない。
それにそれって―――
セシルはゆっくりと首を動かしてすぐ横にあるその美しい横顔をちらっと見た。
この種族しか私は知らない。
何百年も生きてゆける種族。ヴァンパイア……。



