満ち足りない月





「………や…つ………見……け…」

途切れ途切れの微かにしか聞こえない。


人だわ!


セシルは嬉しくて期待に胸を膨らませた。

やっとここから出られるかもしれない!

その声を辿ろうと走り出そうとした時だった。

前の茂みから二人組の男が現れた。


「……っ?!」

セシルはぶつかりそうになって、すぐに走りかけた足を止めた。