満ち足りない月





「それにしても……やっぱりこの森は広いわね」


日中の下、かなり歩いた。

一筋の流れる汗をセシルは拭った。


もう夜だというのに歩いても歩いてもまだ出口が見えない。


――当然か。

セシルは半日以上歩いてやっと、あのラルウィルの屋敷に着いたのだ。


森を出るには恐らく半日以上はかかるだろう。


道のりはまだまだ険しそうだ。


「ふう」

セシルが一度立ち止まって一息ついた時だった。


突然、声が聞こえた。