「それは太陽を嫌うというよりも……もっと中の問題だ」
「中?」
ラルウィルの言葉の意味は深すぎて、理解に努力が必要だ。
「そう。心さ」
そう言うと手を組み、顎を置いてニヤッと笑う。
「心の闇といったところか。ヴァンパイアの心の闇が消える事はない。つまりそれは用心深さであったり、誰かを信じるという気持ちであったりだ。それがどういった事を意味するか分かるか?」
「誰も信じない。“孤独”って事ね」
セシルも真剣な目つきで答えた。
視線の向こうにいるラルウィルの後ろにある暖炉のパチパチという音が高く聞こえた。
静かな時間の中、ラルウィルはこくっと頷いた。その瞳には今までの冗談のような思いはなかった。
ただ何か、彼に感じた。
只ならぬ何か、を。
冷たく静かな何かを。



