「俺の場合って事はあなただけ?」
「そうだ、しかし理由は君には関係ない事だ。あくまで話すのは“吸血鬼”の事だからな」
あなただって吸血鬼じゃない。
セシルは教えてもらえなかったせいか、少しいじけた。
教えてくれてもいいだろうに。
「吸血鬼は人間とは違い、というか体のつくりから違うからな。血を飲まなかったら代わりに人間の食事を取れば死にはしない。しかし人間の食事も三日に一度取ればいいだけだしな」
なんだか思ってたより色々楽だわ…
「おっと、そこで吸血鬼は楽だ、なんて思うなよ?」
え?どういう事…
心を読んだ?
セシルは自らの口を手で抑えた。
「その顔は“なんで考えてる事が分かったの?”ってとこだろう。分かるさ。俺だってだてに三百年生きてないさ」
「三百年?」
セシルは思わず、大声を上げてしまった。
「嘘でしょ…」
目の前にいる美しい青年はどう見たって自分とそう十歳も離れていないだろう姿なのだから。



