満ち足りない月





「ああ…食事か。いや、あまり興味がなくてな。自分で作った料理は食べた事がない」


聞いた途端、思い出した。


目の前にいる男は吸血鬼なのだ。


何処かで聞いた事がある。

吸血鬼は生き血を好み、食事は必要ない、と。


そうか、だから食べないのか…。


セシルはそれから無言になってしまった。

急に喋らなくなったセシルを諭すように、今度はラルウィルが口を開いた。

皿の料理がもうほとんど食べて、なくなっていた頃だ。


「さっきの話だが」

ラルウィルはそう言って続けた。