満ち足りない月





“何でもあるから”

この言葉はセシルの小さい頃からよく言われていた。

まるでお決まりのように。


それが嫌でたまらなかったから、私は――!!



「美味しくないのか?」

その言葉でセシルはハッとした。つい、また感情を出してしまった。

今は落ち着かないと…。


「いいえ。美味しいわ」


今までセシルが食べた数々の料理には勝らないかもしれない。けれど、どこか温かい味だった。


「こんなに美味しいのに何で食べないの?」

セシルはさっきの台詞をまた返すかのように言った。