その時、セシルは自らの心臓が大きく跳ねたのを感じた。
ショックで肩が震えている。
私のせいで…
私のせいでエルが辞めちゃう。
セシルは動機が収まらず、目はキョロキョロしていた。
すると、父が扉(こちら)に向かって歩いてきた。
セシルはさっきまであった動機から、今度は恐怖を感じた。
見つかってしまう!
セシルの体にこれまでにないくらいの冷や汗が一瞬にして浮き上がった。
「お待ち下さい」
あと一歩のところだった。
エルの強く、はっきりとした声が父の足音を遮った。
「どうか…どうかお嬢様に自由を与えてあげて下さい。友達を作る自由、好きな事をする自由を」



