満ち足りない月





そしてレイルが開けた扉を、ウルベは悠悠と通ってゆき、最後にレイルはペコッと頭を下げて扉を閉めた。


「二日連続で客人とは、珍しい事があるもんだ」


閉まった扉を尚も見つめながら、ラルウィルはふふ、と笑った。


「よっぽど貴方は知り合いがいないのね」

セシルは強気な口調で隣にいるヴァンパイアに向かっていたずらっぽい表情を浮かべた。


ラルウィルはセシルを見ると、敵わないと軽く笑って扉へと視線を戻す。





『エドガーに関しては私も調べてみるとしよう』

『すまないな、ウルベ』


ウルベも協力してくれる。

これで彼女はいつここを出ても大丈夫だな。


ラルウィルはちらっと横に立つセシルへと視線を変えた。


『そっくりだよ、お前の母親に』


「………」