男には人間のこいびとがいて、やがてふたりはけっこんしました。
それでも化けねこは男のためにさまざまなことをしてやりました。
しかし何百ねんも生きられる化けねこと違って、男はどんどん年をとっていきました。
手にしわができて、髪は白くなり、やがて男が歩けなくなってベッドで寝たきりになっても、化けねこは男がねているあいだに花をつんできておいてやりました。
毎日毎日男がよくなるように化けねこはいのりつづけました。
しかしそんな化けねこのいのりも届かず、ある日とつぜん男は永遠の眠りにつきました。
男の妻やしりあいたちは泣きつづけました。
化けねこは死んでしまった男をまどから見つめ、あることに気がつきました。



