満ち足りない月





「ラルさんのお父様とお嬢様はご友人でした。だからラルさんのご両親が亡くなった後、お嬢様がラルさんの面倒を見ていたみたいです。詳しい事は僕も分からないんですけど」


すみません、とレイルは続けた。


「いいのよ、いいのよ、気にしないで」


ラルのお父さん…

結局彼はどうなってしまったのか、セシルは知らなかった。

それにそんな事をラルウィルに聞けるはずはないのだから。


けれどやっぱりご両親とも……


セシルは悲しそうに下を俯いた。


私の知らない事は沢山ある。

けれど"他人"である私に聞く資格はないし、聞く必要もないんだろうな。


セシルはそんな事を思ったが、すぐに考え直した。



しばらくするとふいにセシルは話題を変えた。


「そうに言えばレイルとウルベってどこの街に住んでるの?」



「ペイカという街にお嬢様の屋敷があります」