「ほかにも何か言っていたと思うのですが、僕にはもう聞こえていませんでした」
……どんな気持ちだったのだろう。
セシルは当時の幼いレイルの事を思い、胸が痛くなる。
レイルは静かに続けた。
「それからというものの、ふさぎ込んでいた僕は飾ってある花が嫌で嫌で堪らなくなった。お嬢様はそれを気付かれたらしく、僕をこの屋敷に連れてきて下さいました」
そう言って懐かしそうで、穏やかな顔をするレイル。
そうか、レイルは人間だから本当につい最近、10年も経っていない間に初めてここに来たんだ。
リュエフやウルベ達が初めてここに来た年月と比べるとそれは本当に最近の事で、そんな彼らとの時間の感じ方の違いが何だか分かったような気がした。



