ふと気が付くとレイルが森に近い奥の方にまで行って立っていた。
自分の足元を見ている。
どうやらそこにある花を眺めているようだ。
セシルは花を踏まないように、花と花の間にある細い道を通ってレイルの隣に立った。
何かを懐かしそうな、切なそうな、複雑な表情で見つめている。
「アネモネ、綺麗な花よね。好きなんだっけ」
少年の視線の先にある花を見て、セシルは言った。
そのままよく見えるようにその場にしゃがみ込む。
赤のアネモネがそこには何本か花を咲き誇らせていた。
金魚の尾のようにひらひらとした花びらを纏い、中央は円のように白い模様があり、まるで少女のようなあどけなさを感じる花だった。
花は一つ一つラルウィルが教えてくれたのだが、とてもこの広い庭園の花全てを覚える事は出来なかった。
しかし、強い赤が主張する、自信に満ち溢れたかのようなその小さな花はなぜかセシルの記憶に印象づけていた為、名前は覚えていた。
「この花は僕が捨てられていた段ボールの中に入っていた花なんです」
上から低い声が降ってきた。
「花言葉は“孤独”」



