満ち足りない月





「そのビリヤードを教えて下さったのもラルさんなんですけどね」


そう言って微笑むレイルを、セシルは皿を洗いながら横目で見た。


「へえ、ラルが…」


意外、とまではいかなかった。

何故ならしているその姿を想像すると何だかピッタリ合っているような気がしたからだ。



「ラルさんには、本当に沢山の事を教えて頂いたんです」


レイルは遠くを見るように洗っている皿を見つめていた。


セシルはその横顔をちらっと横目で見ると、視線を皿に戻し、最後の一皿を洗い終えた。

そしてキュッと蛇口を勢いよく捻る。


「よし。お疲れ様、有り難うね」


手を掛けてあるタオルで拭きながらセシルは言った。