満ち足りない月





ぼーっとしていたセシルはハッとして少年をもう一度見直した。

「お皿、運びましょうか」


「はい」


口角を上げて優しく笑うとレイルはセシルの後ろ姿を追った。





―――…



「で、あの娘、お前はどうしたいんだ?」


「相変わらず直球で聞くね、ウルベ」


ジョウロから流れる水を眺めながら、ラルウィルはふふっと笑った。

先程レイルが言っていた赤いアネモネが突然降り注ぐ雨で濡れている。


するとラルウィルの言葉を無視して、少女はその後ろ姿を睨んだ。



「お前、正体も分からない娘を屋敷で住まわせているのだろう。そんな見え透いた下心だけでそれをしている軽い男だとは思えないがな」