満ち足りない月





人間……


意外だった。

もう何週間もここにいるからか、感覚がおかしくなっているようだ。


少年は更に続けた。


「けれどウルベ様は違います」


セシルの心臓が跳ねた。

やっぱり。


レイルはまだ確信を持てなかったが、ウルベは人間ではない何かなのだと自然に察していた。


しかしこうもあっさりとその確信を本当のものにされてしまうと、やはり驚きは隠せない。



レイルは静かに言った。


「お嬢様は、俗に"化け猫"と呼ばれる存在です」


「化け猫?」


この生き物もやはり街で一度は聞いたことがあるものだった。


しかしそれはあまりにも曖昧で、様々な姿に自由自在に変わる事の出来る猫だと、聞いた事がある。


それは絵本の物語にも出てきたし、街の有名なお伽話でもあった。