満ち足りない月





「ラルさん、僕が好きなあの花、咲きましたか?」


「ああ、アネモネか。咲いてるよ」

優しく微笑みながら言うラルウィル。


また彼の違う一面を見た気がした。



それにしても仲の良い二人。


コーヒーのカップを口に近づけながらちらっとラルウィルと会話する少年を見つめた。


さっきから話しているのは少年の最近のことや庭園の話など極々普通の会話で、別におかしな事はない。


まるで兄弟のようだ。



しばらくして少女が口を開いた。


「ここにあの狼小僧が来ていたようだな」


そう言って尚も表情を変えず、ラルウィルを見つめる少女。


ラルウィルは「ああ」と答えながら、一口コーヒーを含んだ。


「ちょうど昨日来たよ。それにしても立て続けに来客なんて久しぶりだ」


ふふ、と目元を下げながら笑うラルウィル。