満ち足りない月





セシルはくすっと笑いを漏らしながらラルウィルの顔を見た。


「昔話を少し」


当然自分のラルウィルへの気持ちを話したなんて事は言うつもりはない。

言う必要もないし、その話はリュエフとの秘密にしたかった。



ラルウィルはいたずらっぽく笑うセシルを見て手を頭に置いた。


「全くあいつは。で、どんな昔話をされたんだ?」


「リュエフさんとの出会いを」


そこで大きな溜息をする、ラルウィル。

「幼い頃の事だ、あんまり気にしないでくれ」


そう言って目線を外して頭をかくラルウィル。

照れてるんだ。




「ええ、分かったわ」

セシルはくすっと笑いながら言った。