満ち足りない月





「え!今の流れでいきなりそんな事言ったんですか?」


セシルは目をまんまるくさせてリュエフを見た。


す、凄い人。
本当に根から明るい人なんだわ。

それが彼の長所なのね。


セシルは柔らかな目でリュエフを見つめた。


それにしてもラルウィルの幼い頃なんて……見たすぎる。


セシルは思わずこんな事を考えていた。




「――おいおい、一体いつの話をしてるんだよ」


扉が閉まる音がすると同時にラルウィルの呆れたような声が聞こえてきた。


セシルは一瞬ビクッとしてしまった。まさかこのタイミングで現れるなんて。



「はあ〜お前、いつからそんななってしもうたんやろなあ」


大きく溜め息をつきながら机に肘をつくリュエフ。



「昔はこう、捻くれた中に素直さっちゅーのがあったのになあ」