満ち足りない月





「ラルウィル……」

また小さく、ぽつりと言った言葉はそっとリュエフへと聞こえてきた。


リュエフは目尻を下げ、自分より背の低い、その色白の少年の頭に手の平を置いた。


「そっか、ラルウィル。俺はリュエフや。宜しくな」


そう言うと、わしゃわしゃっと頭を撫でた。

そしてにっこりと笑うと言った。


「―――ていうわけでしばらくの間、ここに住まわせて欲しいんや」






――――



「みたいな感じでまあしばらくここに住んでた事もあったんや」


リュエフはざっと話し終えると、はははと笑って、また紅茶を口に含んだ。