「いや、違うけど……」
相手の勢いに圧倒されて、物怖じした。
少年は「何だ、違うのか…」と、声を漏らすと途端に表情を元に戻した。
「で、何でここに来たんだ?」
今度はまた鋭い目つきでこちらを睨んできた。
この変わり様、なんかあったんか。
そう思うと、リュエフは切り替えて相手をしっかりとした眼差しで見る。
「お前、ここで一人で住んどるんか?」
すると一瞬、少年は目線を反らした。
「そうだよ」
ぼそりと小さい声で言ったその言葉にリュエフは自分と同じものを感じた。
「名前は?」
リュエフの表情は柔らかなものになっていた。
この時、死んだ弟を重ねていたのかもしれない。



