「見られたから噂になってんだろーが」
更に深い溜め息が聞こえてきた。
「まあえいやないか、そんな話。それより…」
リュエフは話をそらし始めた。
全く、と呟きながらもその話を聞き入っているラルウィル。
あんなに姿を見られた事を気にしてるのはリュエフさんの事を心配しての事なのよね。
分かりにくい優しさ…
ぶっきらぼうにリュエフの話を聞くラルウィルを見ながらフッとセシルは軽く笑った。
「……なるほどな。分かった、持ってこよう」
ラルウィルはそう言うと、席を立った。
カチャン、という扉が閉まる音がするとすぐにリュエフがこちらに振り返ってニコッと笑った。
「エルちゃん、あいつの事どう思っとるん?」



