満ち足りない月





リュエフは駆けていったセシルを遠目で見つめた。

そしてラルウィルに横顔を向け、にやっと笑う。


目があったラルウィルは「はあ…」と大きな溜め息をつくと、呆れたように言った。


「お前はいつも余計な事をする。あいつには何も言うな」


「もう“あいつ”呼ばわりなんか?」

さっきまで笑っていたリュエフの表情が急に張り詰めた真顔になった。


「ラル、お前やっぱり昔っから好みは変わらんのやな」


するとラルウィルの見開いた目を見て、リュエフはふっと表情を緩めた。


「とぼけんなや。目は理解してますって言ってるわ。……それで彼女、煙草好きなんか?」


リュエフは思い出すようにケラケラと笑った。


そんなリュエフを白けた目で見て、ラルウィルは前を見た。


「何でそうなるんだよ……それに知らねーよ」