満ち足りない月





それにしてもさっきラルが言った「お前なら分かるだろうが」って…

この人はあの距離から足音が聞こえるってことよね?

それってラルウィルと同じ…



――まさかこの人も“ヴァンパイア”?


セシルは改めてじっと相手を見た。


見た目的にはその風変わりな外見を除いては普通の男性と何ら変わりはない。

でもそれはラルウィルだって同じだ。


本当にこの人はヴァンパイアなのだろうか。

セシルはごくりと唾を飲み込んだ。



するとずっと自分を見ているのに気付いたのか男がこちらに気付いた。


「お、そうや。お前の屋敷に来たつもりやのにこの娘(こ)が出たからびっくりしたんや」


男はセシルを見ると、ラルウィルに視線を移し、「お前もやるなあ」とニヤニヤ笑った。