―――…


「ラルウィル!」

ハッとしてラルウィルはすぐに声がした方向へ振り向いた。


「本当にあったのね、庭園」

エルは目を輝かせるかのようにしきりに辺りを見渡した。


「凄い綺麗だわ。これ全部貴方が育てたの?」


ラルウィルはぼーっと庭に咲いている赤い薔薇を見ている。

「?」

エルはそっと下から彼を覗き込んだ。


ラルウィルはそれに気がつくと、少し驚きつつも答えた。

「あ、ああ…」


「綺麗ね、本当に。全然変わってないじゃない、絵にあった庭と」


エルは風で絡まった長い髪を耳にかけながら花たちを見つめた。