満ち足りない月





「母さん!咲いた……咲いたよ!あの白い花!」


ラルウィルは勢いよく扉を開けながら言った。


母は真っ白なベッドから体を起こすと、いつものように目を細めて微笑んだ。


「そう、咲いたの。良かったわねラルウィル」

母はいつも笑っている。

「うん!だから母さんにも見て欲しいんだ!」


ラルウィルは小走りで母がいるベッドに駆け寄った。下からその顔を覗き込む。


「分かったわ。貴方が一生懸命に育てた花ですものね」


母はしわが入ったその温かい肌色の手で、冷たく真っ白な幼い少年の頬を触った。