満ち足りない月





セシルは途端に顔が真っ赤になった。

「だ、だってやった事もないし、それにこうやってやってたのを見た事あるもの!」


ラルウィルは頭に?マークを浮かべてこちらを見つめている。



しまった!

セシルはその表情に気付き、ハッとした。


私が何者なのか感づかれてしまう――!


「いやあの、その……あんまりした事がないから」


セシルは明らかに分かるように目を泳がしながら答えた。

そんな姿を見ながらラルウィルがははっと笑う。

「俺もした事ないよ」


だからこんなにこの屋敷は汚れてるのよ…

セシルは苦虫を噛んだように顔をしかめた。