キィ…―――
軋みながら開く門は少し錆れている。
そういえば屋敷を囲んでいるあの柵も錆れているようだ。
屋敷は壁の色ひとつハゲていないし、美しさを保ったままなのに、なぜ周りを囲む柵だけ錆れているのか。
セシルは不思議に思う気持ちと、なぜか背筋が凍りつくのを感じた。
ゾクッという気味が悪い感覚を体が起こす。
急に寒くなってきた気がして、セシルは自らの肩を手でさすった。
門を抜けると黄土色のタイルが敷き詰められた道が真っ直ぐ屋敷の扉に向かって伸びていた。
道に足を任せ、セシルは進む。
本当に綺麗な所だ。
目の前の屋敷を見上げるとその威厳が伝わってくる。
唇をキッと結びながら歩いた。



