満ち足りない月





そしてセシルはその雑巾を絞りもせず、べちゃっと床に置いた。

そして雑に床を拭く。


少し埃っぽかった床が水で拭い取られている気がしてセシルはワクワクした。


掃除ってこんなに楽しいのね!
何でみんなこんな楽しい事を私にやらせてくれなかったのかしら。
絶対に喜んでやっていたのに……



セシルはそんな事を考えながら顔にほんの少し笑みを浮かべながら床を拭いていく。



だいぶ時間が経った頃、やっと大広間の床を全て拭く事が出来た。


「ふう……」

うっすら額に浮かんだ汗を拭いながらセシルは自分がたった今拭き終わった床を見渡した。


「掃除ってすっきりするわ!」


セシルは思わずにっこり微笑んで思った事を口走っていた。