満ち足りない月





セシルは一階の奥にしまってあったはたきや布巾、雑巾なんかを大広間に置いてあるバケツへと持って行った。

それにしても本当にこの屋敷は長いこと掃除をしていないらしい。

雑巾などがしまってあった小部屋は埃(ほこり)だらけでセシルはすぐにけほけほと咳をした。

今も埃が目に染みているようでついまばたきをしてしまう。



ふう、と息を吐くとセシルは雑巾を手に持った。


そしてそのまま雑巾をバケツに突っ込んだ。

そのままバシャバシャと雑巾を濯ぐように水に浸す。

初めてのその感触にセシルは子供のように興奮した。


水で洗うのって楽しい!