ドンッ―!






一瞬、何が起こったのか分からなかった。



颯太は無意識の内、自己防衛の反射作用が働き、右手を後ろに出す。

そして、重みを支えきれず、悲鳴をあげる。

続く腰の痛み。

そこでようやく、冷たい廊下に打ち付けられたことを知る。



「悪く思うなよ、颯太。」



冷ややかな言葉が、頭上から降る。



「翔…!どういう…ことだ…」



左手を突き出し、颯太を見下ろす翔。


訳が分からない。

いや、分かりたくない。



「俺の為に、尊い犠牲になってくれよ。」



嘲りにも似た冷笑を浮かべ、それだけを言うと、翔は階段を駆け上がっていった。



ショックでフリーズした頭から、バグが発生。

処理をしきれず、オーバーヒートする。



しかし、直ぐさまその熱は冷めた。


鬼の息遣いが、耳元を覆ったからである。





「うわぁぁーあ!!」