廊下を曲がった瞬間…
2人の前に鬼が立ちはだかったのだ。
「うっ…わ!?あぶね!」
ぎりぎりのところでブレーキが効き、鬼にぶつかる事態は避けた。
しかし、ここからが問題なのだ。
どうやって、この恐ろしい敵から逃げ切るか…
逃げ切れるのか…
「颯太!こっちだ!」
「翔っ!」
翔の声に導かれるように、来た道を引き返す。
「急げ!階段だ!」
一歩前を走る翔から離れないように、必死についていく颯太。
後ろから聞こえる鬼の息遣いや足音…
というより爪音が、危機感を募らせる。
「階段はマズくねぇか!?」
スピードがダウンするし、もし屋上なんかに追い詰められたら一巻の終わりだ。
「いいから、こっちだ!」
しかし、翔は階段を駆け上がりだす。
仕方なく、颯太も階段に足を掛け、一、二段駆け上がる。
―…その時、事は起こった。