「あいつは…翔は裏切ったんだ!」
想像以上に重みのある言葉に、翼は瞿然とした。
「翔は俺を…いや、もしかすると、俺以外の奴らも裏切ってきたのかもしれねぇ。」
「なぁ、颯太!ちょっと一緒に走ってみないか?最近普通の練習してないから、自分の速さがわかんなくなってきてさ。」
校舎に入る直前の颯太にこう話し掛け、一緒に走ることを提案してきたのが翔だ。
確かに、この練習方法は互いの成長を見ることができない。
知らぬ間に、自分だけ置いていかれているかもしれない。
そう思った颯太は、快く翔の提案にのった。
そして、連れだって校舎に入り、鬼城の笛の合図と共に走り出す。
ここまでは、なにもかもが順調で、全てがいつも通りだった。
むしろ、翔が隣にいることで、いつも以上の安心感がある程だったのだ。
しかし、事件は起こった。