「これ、今日の朝練から付け始めたの。お守りとして。でね、走る前にコレをギュッと握るの。」
そう言って、響子は両手でネックレスのトップをギュッと握った。
「そしたら、今日とってもいい走りが出来たの!今まで硬かった筋肉が、嘘みたいにほぐれてて、自分でも分かるくらいだった!」
本当に嬉しかったのだろう。
興奮気味に話す響子。
「だから、ありがとう!牧野くんがジンクスを教えてくれたから、私、もっともっと頑張れそうだよ。」
嬉しそうに笑った響子につられ、翼と颯太の顔も自然と緩む。
「別に。それが、皆川の本来の力なんだ。俺は何もしてないよ。」
「とか言って嬉しいくせに。」
「なっ!颯太っ、おまえ!」
普段はクールな翼も、表情を柔らかくする。
颯太といる時は、部のエースや大人っぽいといったイメージを崩し、中学生らしさを取り戻していた。
楽しそうにじゃれあう二人を見て、響子はクスクスと笑っていた。