「それでは、生存確認をとる。呼ばれたら返事をしろ。」



鬼城が、数週間前までは出席簿だった黒い帳簿を持って怒鳴るように言う。


翼は黙って、名前が呼ばれていくのを聞いていた。



今日はどれだけの人数が生き残ったのか…



それだけが気になり、本来ならば聞きたくもない鬼城の声に耳を傾ける。



「…遠藤 颯太!川瀬 鳴海!…なんだ、川瀬は死んだのか!?」



鬼城の言葉は疑問形で終わっていたが、誰も答えようとはしなかった。


仲間の死を自ら報告し、認めてしまうのは、中学生の彼らにとって酷にも程がある。



鬼城は、誰からの返事もないことに少々苛立ちながらも、まぁ仕方がないか、と半分諦めたようにため息をつくと、再び生存確認をとりだした。