しばらくして、ふらつきながら校舎から出て来る人影が見えた。



「颯太…?」



ポツリと名前を呟くと、翼は人影へと駆け寄った。

翔は駆け寄ることはせず、その場に残っていたが、そんなことを気にする余裕など無かった。



「颯太!」



再び名前を呼ぶと、俯いていた彼が、重たそうに顔を上げた。



「つ、ばさ…」



やっぱり翼の思った通り、人影は颯太だった。

翼は、颯太の近くまで来ると、自分の目を疑った。



「颯太!?大丈夫か!?」


「わり…ちょっとドジった…」



そう言って、力なく笑う颯太の全身は傷だらけだ。

腕や脚は、鬼の爪でえぐられたような傷が至る所についていて、真っ赤に染まっている。



「しっかりしろ!そうだ、保健室!」


「まだ開いてないよ。保健医が来るのは、7時だ。」



颯太の腕を肩に回し、保健室に運ぼうとした翼を、落ち着き払った声が止める。



「翔!でも、このままじゃ…」



颯太の体から流れる血は、止まる気配がない。