それから、ポツポツと校舎から出て来る部員が見えだした。

大概の部員が、疲れ果て、恐怖で青ざめた顔をしている。



その中に、未だ颯太の姿は見えない。

翼は、不安げに校舎を見上げた。



「颯太が心配か?」



落ち着きなく校舎を見る翼に、翔が話し掛ける。



「……あぁ。いつもなら、とっくに出て来てる筈だ。」


「まさか、鬼に…」


「やめろ!縁起でもないこと言わないでくれ!」



翼は、ほんの少し怒気を孕んだ声で、翔の言葉を遮った。



「冗談だよ。そうムキになるな。」



笑いながら謝る翔に、翼は嫌悪感を抱いた。

親友がもしもの事態に陥っているかも知れないというのに、笑っていられる彼の神経を疑った。


しかし、翼は翔を一睨みすると、すぐに校舎へと視線を戻した。

翔への嫌悪よりも、颯太の安否の方が心配でならない。