…くそ!
鬼に行く手を阻まれ、翼は、急ブレーキをかける。
踏み出していた左足をなんとか押し止め、鬼に正面からぶつかる事こそなかったが、翼が引くと同時に鬼の最初の一手が繰り出された。
《ヒュッ―…》
鋭い爪が光る鬼の手が、翼を目掛けて振り上げられた。
翼は、左足に掛かっていた体重を素早く右足に移動させ、右膝の力を抜くことで咄嗟にしゃがみ込む。
そして、体重移動によって後ろに掛かった力で、後方に転がる。
鬼の爪から逃れることはできた。
が、しかし…
《ゴッ―!》
鈍い音共に、翼の頭に痛みが走る。
後方に転がったせいで、頭を噴水の周りを囲うコンクリートに強く打ち付けてしまったのだ。
「…っく!」
痛みに顔を歪ませる翼。
一瞬、クラッと眩暈がし、視界が白くぼやける。
しっかりしろ!
自分に喝を入れ、頭を振り、飛びかけた意識を無理矢理に戻す。


